若尾歯科医院からのお知らせ

2012.11.13

今回は歯周病のリスクファクターについてお話しします。歯周病の原因は細菌であることは前回お話しした通りです。細菌は歯周病の直接的な原因となりますが、それ以外にも歯周病を増悪させたり誘発するような間接的な因子、つまりリスクファクターといわれるものがいくつか存在します。

歯周病は細菌による感染が原因ですから、感染を助けるようなものや、全身的な免疫力を低下させるような因子はすべてリスクファクターとして考えられます。全て説明したらきりがありませんので、ここではその代表的なものに焦点を絞ってご説明したいと思います。

局所的リスクファクター

1.歯石

プラークに唾液中のミネラル成分が沈着し、石灰化したものを歯石と呼んでいます。昔は歯周病の原因は歯石であると考えられてきましたが、歯石は石灰化しているため細菌は存在していません。しかし歯石はプラークが付着しやすく、歯ブラシで落とすこともできないため歯周病を悪化させます。

2.不適合なかぶせもの

不適合なかぶせものがあるとそこでプラークがたまりやすいため、歯周病を誘発します。

3.歯並び

歯並びが悪いと歯ブラシで汚れが落としづらいためプラークが残りやすくなります。また、歯と歯の間に隙間が空いていると食べかすが詰まりやすく歯肉に炎症を起こしやすくなります。

4.歯ぎしり

歯ぎしりが強い方は、歯を支えている組織に負担がかかりやすいため、歯周病を悪化させやすくなります。

全身的リスクファクター

1.喫煙

喫煙者は非喫煙者に比べて3倍も歯周病にかかりやすいとの報告があります。

たばこに含まれるニコチン血管を収縮するため、歯肉の血行不良を起こします。血行不良を起こしているため、歯肉に炎症が起こっていても、出血などの症状が出にくいため見た目ではわからないのですが、かなり歯周病が進行していることもあります。

また血管を収縮するため、細菌に抵抗する免疫細胞が活動しにくく、歯周病を悪化させる恐れがあります。

2.糖尿病

糖尿病は全身の抵抗力を下げ、細菌に感染しやすくなるため歯周病が悪化しやすくなります。また、歯周病自体も糖尿病を悪化させることが最近分かってきました。歯周病と、糖尿病は互いに相関関係にあり、糖尿病の悪化が歯周病を悪化させ、歯周病の悪化がさらに糖尿病の悪化を招くという負の連鎖に陥ることが報告されています。

3.食生活

偏った食事は免疫力低下を起こすため歯周病を悪化させます。最近では肥満の方はふつう体重の偏りも歯周病になりやすという報告もあります。

4.ストレス

ストレスは万病の元ですが、やはり歯周病のリスクファクターの一つでもあります。抵抗力の低下によるものといわれています。

ほかにも様々なリスクファクターは存在します。大切なことは歯周病は毎日の歯磨きを筆頭として、喫煙習慣や食生活、ストレスといった生活習慣と大きくかかわっているということです。歯周病は生活習慣病です。日々の生活習慣を見直して少しずつ、できることから改善していく努力が必要です。

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