今回のお知らせは歯周病についてです。歯周病は虫歯に並び、歯科の二大疾患と言われています。これから歯周病について数回に分けてお話しさせていただきたいと思います。
歯周病はただ歯が抜けるだけの病気ではありません。心筋梗塞や、脳梗塞、糖尿病などを悪化させ、あなたの生活、そして命を奪いかねない怖い疾患です。
歯がぐらぐらする、歯ぐきが腫れて痛いというお悩みでご来院される患者さんは非常に多く、その原因が歯周病です。歯周病は症状が出ていなくても少しずつ進行していることが多く、このような症状が出ている時にはもう手遅れになっていることも少なくありません。自覚症状は少ないのですが、実は35歳以上の80%以上の人が歯周病にかかっている。という報告もあります。
歯周病は歯を支えている組織に起こる慢性的な炎症です。最終的には歯を支えている骨をどんどん溶かし、あなたの大切な歯をぐらぐらにします。最悪抜けてしまします。
冒頭で歯周病が命に係わるとお話ししましたが、これは決して大げさな話ではありません。アメリカでは1998年に”floss or die”というキャンペーンが掲げられました。これは何を意味しているのでしょうか?flossとは糸ようじのことです。歯と歯のお掃除に使われている方もいらっしゃるかと思います。dieとは死ですね。つまり糸ようじを使って歯を丁寧に磨きますか?それとも死を選びますか?ということです。歯磨きを怠っていると歯周病はどんどん進行します。しかも自覚症状がないまま・・・そして全身疾患を徐々に悪化させます。
まだ信じられない方もいらっしゃるかもしれません。しかしよく考えてください。歯周病は歯周ポケットの慢性的な炎症です。その炎症が起こっている表面積は手のひらの面積に相当します。手のひら全体に細菌に感染した慢性的な潰瘍があると考えてください。これは健康と言えますか?そしてこの潰瘍はどんどん広がり自然に出血したり膿が出てきます。もう一度言いますがこれは健康な状態と言えますか?
歯周病と全身疾患との関わりはまた別の回で詳しくお話ししていきますが、歯周病が歯が抜けるだけの病気ではないことがご理解いただけたと思います。
次回からは歯周病の原因についてお話ししていきます。