若尾歯科医院からのお知らせ

2012.11.07

本日は虫歯の原因第二回目ということで、虫歯に対する防御機能についてお話ししたいと思います。

前回のお知らせでは、虫歯は細菌によってできること。細菌が産生するによって歯が溶かされること。そして細菌がプラークという集合体を作って歯にこびりつくことなどをお話しさせていただきました。

細菌から出てくる酸に溶かされ続けては、お口の中は虫歯だらけになってしまします。しかし、お口の中は虫歯に抵抗する機能が備わっています。その機能は主に唾液による働きです。

唾液というのは実は様々な働きがあります。消化を助ける役割も、もちろんありますが、今回は虫歯に抵抗する働きについて主にお話をさせていただきます。

①自浄作用

唾液には常に分泌され続け、細菌や、食べかすを洗い流してくれます。この洗い流す作用のことを自浄作用と呼びます。

②PH緩衝作用

食べ物を食べると細菌は糖を代謝し、を作ります。するとPHは下がり酸性になります。酸性になれば歯からミネラルが溶けだします。このミネラルが溶けだすことを難しい言葉で脱灰(だっかい)と言ったりします。この状態が持続すれば歯に穴が開いてしまいます。しかし、唾液にはPH緩衝作用という働きがあります。お食事の後に酸性に傾いたPHを中性に戻すことができます。実際はお食事した直後はお口の中はPH4~5付近まで下がります。これを約40分間で中性に戻します。

③再石灰化作用

再石灰化は幾度かほかのページでも紹介させていただきました。溶けだしたミネラルを修復する働きを再石灰化といいます。唾液にはカルシウムやリンといったミネラル成分が含まれています。お口の中が酸性になれば歯からミネラル成分が溶けだしますが、中性に戻るとミネラル成分は結晶になって歯に沈着します。これが再石灰化です。お口の中ではミネラルが溶けだす脱灰とミネラルが沈着する再石灰化が常に繰り返し起こっています。この均衡が保たれていれば歯に穴が開いて虫歯になることはありません。しかし、バランスが崩れたとき、歯から溶け出すミネラルが多くなったとき虫歯は進行します。

これが唾液の虫歯に抵抗する働きです。

ここまで読んでいただくと虫歯というのは複雑なメカニズムで起こっているということがご理解いただけると思います。細菌によって作られる酸で歯が溶かされる脱灰、そしてそれを修復、抵抗する唾液の作用、このバランスが崩れると虫歯になります。では、このバランスが崩れるときはどんなときでしょうか。

先ほどPH緩衝作用のところで中性に戻すのは40分ほどかかるということをお話ししました。しかし中性に戻る前、つまり40分以内に再び食事をしたりおやつを食べたらどうなるでしょうか。お口の中は再び酸性に傾きます。そうなれば溶けだすミネラルが多くなります。その間は再石灰化もしません。

いつまでもだらだらと食事をしたり、おやつの回数が多い方などは虫歯になりやすいということです。おやつを食べることは構いません。しかし虫歯をできにくくするにはおやつの回数を増やすのではなく、一回にとる量を増やして回数を減らすことが大切です。

それともう一つ、夜寝ているときは唾液はほとんど分泌されません。したがって今お話ししてきたような虫歯に抵抗する作用がほとんど機能しません。虫歯は夜に作られるといっても過言ではないくらいです。したがって、夜寝る前にいかに細菌の量を減らせるか、細菌の餌になる食べかすを減らせるかがポイントになってきます。歯磨きで一番時間をかけていただきたいのは夜寝る前の歯磨きです。

以上、私たちに備わっている虫歯に対する防御機能のお話です。

少し長くなってしましましたが、次回は今までの話を踏まえた上での虫歯の予防についてお話ししたいと思います。

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